全国木材検査・研究協会






(1)製材のJAS規格
木材は、木造建築の重要な資材として、寸法、材質、強度性能等の品質 が明確で安全性に優れた規格木材の供給が重要な課題であります。
また、地球温暖化防止対策に向けた取り組みの中でも重要な位置付けと して木材利用推進が求められています。
これらに応えるため木造建築物等に使用される構造用、造作用、下地用等の製 材について、それぞれ規格を制定し、施工の合理化、木造住宅及び木造建築物の振興に寄与することを目的として、「製材の日本農林規格」及び「枠組壁工法構造用製材の日本農林規格」が制定されています。
「製材のJAS規格」、「枠組壁工法構造用製材のJAS規格」は、[関連法規一覧]を開いてください。
(2)JAS規格の区分
「製材のJAS規格」(平成19年8月29日農林水産省告示第1083号)は、 一般材(次の区分のうち、構造用製材、造作用製材、下地用製材、広葉樹製材)、押角、耳付材及びまくら木 (「製材」と総称する。)に係る規格を規定しています。
「枠組壁工法構造用製材のJAS規格」(昭和49年7月8日農林省告示第600号)は、一般材のうち、 枠組壁工法構造用製材に係る規格を規定しています。
JAS規格の区分表
注:
押角は、下地用製材に含みます。
耳付材は、造作用製材、下地用製材、広葉樹製材に含みます。
まくら木は、下地用製材、広葉樹製材に含みます。
○ 材種の区分 上記の「製材」について材種を次のとおり区分します。
(3)JAS規格の基準
製材JAS規格は、上記(2)の区分ごとに、品質と表示について基準を規定しています。
品質基準は、材面の品質(節、丸身、貫通割れ、目まわり、繊維走行、腐朽、曲がり等)、インサイジング、保存処理、含水率、寸法について規定しています。
表示基準は、表示事項、表示の方法、表示禁止事項について規定しています。詳しくは、次のJAS規格を参照してください。
(4)強度性能の表示について
製材JASでは、「構造用製材」の強度等級区分法として「目視による等級区分法」と「機械による等級区分法」の二つの方法が採用されています。
目視による等級区分法は、材面の品質に応じて等級区分を行う方法で、木材の強度に及ぼす節、繊維傾斜、割れ等、目視によって評価できる因子によって等級区分されます。目視等級区分構造用製材はこの方法で等級区分します。
強度に及ぼす節等の品質の影響は、使用時の荷重のかかり方によって異なるため、構造用製材のうち、主として曲げ・引張り荷重を受ける「甲種構造材」と、主として圧縮荷重を受ける「乙種構造材」とに分けて許容できる欠点の基準値が定められています。

目視等級区分構造用製材の等級表示の例(品目によって異なる。)
(注:星印の色は黒色)
機械による等級区分法は、曲げ試験機等によって非破壊的に測定される曲げヤング係数に基づいて強度の等級区分を行う方法です。
ヤング係数と木材の強さとの間には統計的に高い相関関係があるため、目視等級区分法に比べて高い精度で木材を強さ別に仕分けることが出来ます。機械等級区分構造用製材はこの方法で等級区分します。
なお、機械等級区分構造用製材のJAS 認定を取得する場合には、認定された機械等級区分装置(別表)を使用することが必要です。

機械等級区分構造用製材の等級表示の例(等級表の一部)
別表「JASの機械等級区分構造用製材に関する全木検が認定した機械等級区分装置」はこちらから
目視等級区分構造用製材、機械等級区分構造用製材、枠組壁工法構造用製材の基準強度については、 「建築とJAS製材(4)木材の基準強度について」及び
[関連法規一覧]を開いてください。
(5)保存処理について
保存処理の性能区分
製材JASで規定している保存処理は、防腐・防蟻処理及び防虫処理を対象としています。
保存処理は、その性能によってK1~K5に5区分されて、区分ごとに使用薬剤とその処理基準(薬剤の浸潤度、有効成分の吸収量)が規定されています。
(参考)製材JASの性能区分は、木材の使用環境条件を次のように想定してしています。
使用薬剤と記号
保存処理の表示
性能区分について、「保存処理 K3」又は「保存 K3」と表示します。
薬剤名について、「ナフテン酸銅乳剤」と薬剤名又は「NCU-E」と記号で表示します。
インサイジング機の認定
保存処理材のJAS 認定を取得する場合には、認定されたインサイジング機(薬剤の浸透性を高めるために用いる木材の表面を策傷する機械)を使用することが必要です。(別表)
別表「JASの保存処理製材に関する全木検が認定したインサイジング機」は、
こちらから
(6)乾燥処理について
含水率の基準と乾燥方法
木材は、乾燥していない生材状態から含水率が約30%以下に低下すると収縮して寸法が変化し、温湿度環境に対応した平衡含水率(おおよそ10~20%)に到達して安定します。したがって、含水率が15~20%程度に乾燥された材であれば、通常は許容できる範囲です。
このため、製材JASでは、乾燥材の含水率基準を品目ごとに定めています。 乾燥材は、天然乾燥によっても生産できるが、長い日数が掛かることと、到達できる含水率にも限度があり、品質管理が難しい。このため、JASの含水率基準を満足する乾燥材を生産するには、人工乾燥装置を用いるのが一般的です。
乾燥材の含水率基準表
乾燥材の表示
構造用製材等の乾燥材は、未仕上げ材と仕上げ材に区分されます。
未仕上げ材は、そのまま使用されるのではなく、工場出荷後に加工されることを想定して寸法仕上げしない製材で、D20等と表示記号で表示します。
仕上げ材は、乾燥後修正挽き又は材面調整を行い、寸法仕上げした製材で、SD15等と表示記号で表示します。
(7)JASマークの表示例
構造用製材 人工乾燥構造用製材
保存処理構造用製材 機械等級区分構造用製材
造作用製材 人工乾燥造作用製材
下地用製材 人工乾燥下地用製材
人工乾燥枠組壁工法構造用
製材(甲種)
人工乾燥枠組壁工法構造用
製材(乙種)
保存処理枠組壁工法構造用製材
(甲種)
 
 
「製材の格付の表示の様式及び表示の方法」、 「枠組壁工法構造用製材の格付の表示の様式及び表示の方法」は[関連法規一覧]を開いてください。